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ERC(European Reserch Counsil)欧州研究機構 アドバンスト・グラント

ERC(European Reserch Counsil)とは?

ERC(European Research Council、欧州研究会議)は、2007年に欧州連合(EU)によって設立された機関で、フロンティア研究の助成を実施する初めての汎欧州的な機関です[2]。ERCは「科学者による、科学者のための」助成制度をモットーに掲げ、学術面と予算面の両方の戦略を決定し、ワークプログラムの策定、応募研究評価の方法論決定、応募研究を選考するパネルメンバーの選出などを行っています[1]。ERCの目的は、最先端研究を支援することにより、新たな科学的および技術的発見を促進し、ヨーロッパのイノベーションと競争力を高めることにあります[8]。

ERCは、特に優れた研究者に対して、研究の自由度が高く、リスクを伴う革新的な研究を行うための資金を提供しています。資金提供の形態には、若手研究者向けの「Starting Grant」や、より経験豊富な研究者向けの「Advanced Grant」などがあります[6][4]。ERCの助成を受けた研究者は、科学技術イノベーションの分野での卓越した成果を挙げており、日本を含む世界中から選ばれています[1]。

日本とEUは科学技術イノベーション分野においても緊密な関係を築いており、相互に関心のある分野での協力を続けています。日本人研究者もERCの助成を受けており、2015年までに19人の研究者が受給しています。これらの研究者の専門分野は、分子構造生物学および生物化学、細胞・発生生物学、合成化学・合成物質など多岐にわたります[1]。

ERCの使命

ERC(European Research Council、欧州研究会議)の使命は、競争的な資金提供を通じてヨーロッパにおける最高品質の研究を奨励し、科学的卓越性に基づいて研究者主導のフロンティア研究を支援することです[1][3][8]。この使命を達成するために、ERCは創造的な研究者に対して、国籍や年齢に関係なく、ヨーロッパ全域でプロジェクトを実施するための資金を提供しています[1]。

ERCは、科学的卓越性を唯一の評価基準としており、研究分野を問わず、先駆的なプロジェクトを支援するための助成金を提供しています。これには、Starting Grants、Consolidator Grants、Advanced Grants、Synergy Grantsの4つの主要な助成金スキームが含まれます[1]。さらに、Proof of Concept Grantスキームを通じて、ERCは助成金受給者が自らのアイデアや研究結果のイノベーションポテンシャルを探求することを支援しています[1]。

ERCの目標は、最良のアイデアを認識し、ヨーロッパの研究の地位と可視性を高めることであり、海外からの才能を引き寄せることも含まれています[3]。ERCは、研究者が自由にアイデアを追求できる環境を提供し、科学的な発見や技術的な進歩を促進することで、知識ベースの経済への変革に貢献しています[2][3]。

ERCの支援対象となる研究の特徴は何ですか?

ERCの支援対象となる研究の特徴は、以下の点に集約されます:

1. 科学的卓越性:
ERCの助成金は、「科学的な卓越性」を唯一の基準として研究提案を評価します。これは、研究の質と革新性、そして研究者の能力が最も重要な審査基準であることを意味しています[2]。

2. 研究者主導のフロンティア研究:
ERCは、個々の研究者が最大限に創造力を発揮できるような環境を提供し、研究者が個人として研究チームを引っ張るプロジェクトを支援します。研究コンソーシアムによるプロジェクトではなく、研究代表者が個人として主導するプロジェクトが助成の対象となります[2]。

3. 分野横断的なアプローチ:
ERCは研究分野を問わず、すべての分野の研究に対して助成を行います。これにより、学際的な研究や新しい研究分野の開拓が奨励されます[2]。

4. 国際性とアクセシビリティ:
世界中のどこからでも、研究代表者としてERC助成金に応募することが可能です。研究をホストする研究所は、研究代表者が自由に研究を進め、研究資金を管理できるような環境を用意する必要があります[2]。

5. 倫理規定と法規の遵守:
ERCは、研究活動が関係する倫理規定や法規に従うことを要求しており、公正さを保つことが求められます[2]。

6. オープンアクセスの支持:
ERCは欧州委員会のオープンアクセスの原則を支持しており、研究成果の広範な共有を促進しています[2]。

これらの特徴は、ERCが追求する科学研究の最前線における欧州の研究基盤の強化という目的に沿ったものであり、優秀かつ独創的な研究者に対する支援を通じて、ヨーロッパの科学技術イノベーションを推進することを目指しています[2]。

ERCの支援対象となる研究の特徴と評価基準

ERCの支援対象となる研究の特徴は、「科学的卓越性」を唯一の評価基準に基づいて決まります[1][3][4]。この基準は、提案された研究の質、革新性、および研究者の能力を審査する際の中心的な要素です。ERCは、研究分野を問わず、年齢や研究キャリアでのポジションにかかわらず、自立した研究者が魅力的な長期的助成を受けることが可能であり、世界中どこからでも研究代表者としてERC助成金に応募可能です[3]。

また、ERCは研究者主導型のアプローチを採用しており、政治家が設定した優先順位に左右されることなく、研究者が新たな機会や方向性を見出すことができる「ボトムアップ型」の性質を持っています。研究をホストする研究所は、研究代表者が自由に研究を進め、研究資金を管理できるような環境を用意する必要があります[3]。さらに、ERCは欧州委員会のオープンアクセスの原則を支持し、研究活動は関係する倫理規定、法規にのっとるものであり、公正さを保たなければなりません[3]。

ERCのいうフロンティア研究とは何か

ERCがいうフロンティア研究とは、新しい理解や知識を生み出すことを目的とした、基礎研究の最前線に位置する研究です[1]。フロンティア研究は、従来の枠組みや既存の知識にとらわれず、革新的で野心的なアイデアを追求することが特徴であり、科学技術の基礎研究が経済や社会の福祉に極めて重要であるという意味を持ちます[1][2]。

ERCは、研究者が自由にアイデアを追求できる環境を提供し、研究者主導型、すなわち「ボトムアップ型」のアプローチを採用しています。これにより、研究者はあらゆる研究分野から新しいテーマを選ぶことができ、学際的な研究や新しい研究分野の開拓が奨励されます[2][3]。フロンティア研究は、物理、工学、生命科学から社会科学や人文科学まで、知の全領域をカバーしており、それらの学問領域を25に分け、それぞれに対応する評価パネルを設けています[3]。

ERCの助成金は、科学的に優れているかどうかを唯一の基準として授与され、最高のアイデアを評価し、ヨーロッパの最高の頭脳に地位と知名度を与えると同時に、海外からの才能を引き寄せることを目的としています。フロンティア研究の助成を通じて、ERCは欧州の研究システムを実質的に強化し、形成することを目指しており、質の高いピアレビュー、国際的な成功のベンチマークの確立、誰がなぜ成功しているのかという最新情報の提供などを行っています。

ERC欧州研究機構のアドバンスト・グラントとは?

ERC(European Research Council、欧州研究会議)のアドバンスト・グラントは、既に確立されたリーダーであり、画期的で野心的なプロジェクトを長期間にわたって追求したいと考えている主要研究者(Principal Investigator、PI)を対象とした助成金です[6]。この助成金は、科学的卓越性を唯一の評価基準としており、研究分野に関係なく、どのような研究提案も受け付けられます[2][3]。

アドバンスト・グラントの応募者は、過去10年間に顕著な研究成果を上げていることが期待されています[5]。助成金は、公的または私的な研究機関(ホスト機関と呼ばれる)で行われる研究プロジェクトを支援し、ホスト機関はEU加盟国または関連国に位置している必要があります[6]。プロジェクトリーダーは、任意の国籍を持ち、任意のキャリア段階にある研究者であることができます[1]。

アドバンスト・グラントによって、最大250万ユーロ(間接費用の25%の一律率を含む)の資金が提供され、プロジェクト期間は5年間です[1][5]。例外的に、第三国からEUまたは関連国への研究者の移動に伴う「スタートアップ」費用や、プロジェクトに必要な主要な機器の購入などのために、追加で最大100万ユーロの資金が利用可能になる場合があります[5]。

アドバンスト・グラントは、個々の研究者とそのチームに資金を提供することを目的としており、チームメンバーは任意の国籍の研究者であることが可能です。また、チームメンバーがヨーロッパ外の国に位置する場合もあります[1][6]。この助成金は、研究の自由度が高く、リスクを伴う革新的な研究を行うための資金を提供することで、科学的および技術的な発見を促進し、ヨーロッパのイノベーションと競争力を高めることを目的としています[2][3]。

誰が申請できますか?

ERCアドバンスト・グラントの申請者は、主任研究員(PI;Principal Investigators)と呼ばれ、過去10年間に重要な研究成果を上げた活発な研究者であることが求められます。
主任研究者は、研究への貢献の独創性と重要性の観点から、卓越したリーダーでなければなりません。学業面での条件は特に定めていません。

どのような研究が対象となりますか?

基準について

どのような研究分野でも申請できます。ERCの助成金は、あらかじめ優先順位が決められているわけではなく、「ボトムアップ」方式で運営されています。

場所

研究は、公的または民間の研究機関(ホスト機関/HI)で行われなければなりません。ホスト機関は、申請者が既に勤務している研究所でも、EU加盟国または関連国のいずれかにある研究所でも構いません。

ホスト機関

ERC助成金の申請は、申請法人と呼ばれるホスト機関と連携し、ホスト機関を代表する一人の研究代表者(PI)が行わなければなりません。
助成金は、ホスト機関が、研究代表者がプロジェクト期間中に独立して研究を指揮し、資金を管理するための適切な条件を提供することを明確に約束した上で、ホスト機関に授与されます。
主任研究者とそのチームを受け入れることができるのは、大学、研究センター、企業など、どのような法人でもよい。法的には、ホスト機関は、EU加盟国またはEU関連国のいずれかに拠点を置いていなければなりません。
提案書を提出する時点で、PIが必ずしもホスト機関で働いている必要はありません。ただし、提案が成功した場合に、どのように関係を構築するかについて、相互の合意とホスト機関のコミットメントが必要です。

チーム

ERC助成金は、個人の研究者が行うプロジェクトを支援しますが、チームメンバーとして国籍を問わず研究者を雇用することができます。また、1人以上のチームメンバーがヨーロッパ以外の国にいることも可能です。
ERCが主導する研究プロジェクトへの参加を希望するチームメンバーの空席情報は、Euraxess-Jobsポータルで公開されます。
ヨーロッパのERC資金提供チームがヨーロッパ以外の国の優秀な科学者を受け入れるための「実施協定」という形での取り組みがあります。協定についての詳細はこちら。

金額はいくらですか?

Advanced Grantsは、5年間で最大250万ユーロ(2021年5月の為替レートで331,825,000円)まで支給されます。(期間が短いプロジェクトは比例配分). ただし、第三国からEUまたは関連国に移住する研究者のための「スタートアップ」費用、主要機器の購入費用、大規模施設の利用費用、その他の主要な実験・実地調査費用には、さらに100万ユーロが支給されます。
ERCの助成金は、研究にかかる適格な直接経費の最大100%に加えて、間接費として適格な経費の25%を拠出することができます。

どのように申請するのですか?

ERCの助成金申請は、募集に応募する形でのみ行うことができます。ERCは毎年、あらゆる科学分野を対象とした募集を行っています。

2021年のアドバンスト・グラントでは

今年のERCアドバンスト・グラントでは、209名の上級研究者が革新的なプロジェクトを実施し、すべての人の長期的な利益のために広範囲な影響を与えることを目指しています。今年は、ベルギー、デンマーク、フランス、スペイン、英国から5つの事例を選び、詳細に検討しました。これらの研究は、政治学、生物由来の建築材料、人工知能のためのナノデバイス、野生動物から出現するウイルス、膵臓がんなどの多様な分野をカバーしています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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